土曜の朝、旦那を送り出してふと思うこと

税込み298円の「ひとくちホワイトフロマージュ」でつられる、単純なわたしもキライじゃない。

 

 

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土曜日の朝、それはわたしにとって休日の朝だった。

結婚するまでは。

 

月に1度だけ土曜出勤はあるが、

基本土日が休みの会社に勤めていたわたしは、

金曜の夜はすぐに寝るのがなんだかもったいなく感じ、

スマホを片手に、DVDや録りだめしていた一週間分のドラマをひたすら観る。

寝るのは決まって深夜3、4時くらいで、

土曜は昼まで寝るのが定番コースとなっていた。

 

朝9時くらいになると、

そろそろ起きんかー

と、階段の下から1時間ごとに父が声をあげる。

 

しかし、まだ起きる時間ではない。

まだまだ眠いのだ。

 

正午になる頃、

あまりにも起きてこない20代半ばのバカ娘をみかねて、

もう昼になるぞ、いいかげんに起きんか

と、2階の部屋まで父が起こしにくるのはほぼ毎週のことだった。

 

昼過ぎるとせっかくの休みが減るような気がして、

仕方なく寝間着のままで階段を下りる。

 

起きるやいなや、

王様のブランチを観ながら

母が用意してくれているあひるご飯を食べる。

だらしない娘を心配してか、

やっと起きたか、そんなんじゃ嫁さんは務まらんぞ

と、よく言われたものだ。

 

結婚して生活が一変するのは、わたしだけ。

 

そんなわたしも、ついに嫁さんになってしまった。

 

結婚と同時に会社をやめてフリーになったわたしにとって、

旦那が休みの日がわたしの休日になった。

 

とはいえ、旦那が休みでも自身の仕事が立て込んでいるトキは、

それは休日ではなくなるのだが、

夫婦とも仕事がない日は月に2日程度。

その日も、わたしは家事という仕事があるのだが、まぁそれはいい。

 

 

そんな数少ない休みの日でも、

旦那は職場の人とゴルフに行ったり、社会人サッカーの試合だったりと、

早朝から出かけることもしばしば。

ゴルフやサッカーの後は当たり前のように飲み会が行われ、

結局帰ってくるのはすっかり日が暮れた頃だ。

 

それに、

その前日もほとんどの確率で飲み会で、

そんなに遅くはならんけん

と、お決まりのセリフを言って出かけては

深夜遅くや朝方に帰ってくる。

 

旦那がたらふくお酒と料理を楽しんでいる頃、

自分のためだけに料理をするのがめんどうなわたしは

100円足らずのカップラーメンで食事を済ます。

 

休日の前日は仲間と飲みに行き、当日は自分のしたいことをする。

そしてお小遣いがなくなれば、

申し訳なさそうに追加の金額を催促してくる。

 

そう、

旦那の生活は独身時代となんら変わっていない。

 

しいて言うならば、

お金の管理を嫁に任せてしまったため、

お金を自由に使えなくなってしまったことと、

なにかあるたびに嫁に申し訳なさそうな顔を

しなくてはならなくなったことくらいか。

 

変わったのはすべてわたしの方だ。

名字、住所、職場、それに伴う人間関係や生活リズム…

おおざっぱにあげたが、

バカ娘から嫁になったのだから、

その変化を細かく言っていくならキリがない。

 

もちろん変わることは悪いことではない、

いいことだってあるし、

それを分かっていて好きこのんで結婚したんだろ

と、言われてしまえばそれまでなのだが。

 

それでも、

モヤモヤした黒いきもちが消えないのは、

忍耐とあきらめという結婚生活のために必要な絶対要素が

わたしにはまだまだ備わっていないからだろう。

 

独身時代を懐かしく思う

 

こないだのお盆のトキは、

地元のグループLINEが鳴り続けていた。

 

毎年、GWとお盆、年末年始の3回は

みんなで集まっては朝方まで会話に花を咲かせる。

 

しかし、嫁になった以上、

GWはともかく、お盆と年末年始に友人たちの集まりには

もう行けないと分かっていた。

 

まだ独身を謳歌している友人たちの

楽しそうな写真がいくつも貼付けられる。

 

覚悟はしていたが、

あー、みんな楽しそうだな。

あー、みんなに会いたいな。

あー、結婚するの早すぎたかな。

…なんて思ったりしなくもない。

 

 

なんで、わたしばっかり我慢しなくてはならないのか?

なんで、旦那ばっかり楽しんでいるのか。

 

 

そんな考えで頭がいっぱいになったトキ、

 

旦那が手にコンビニ袋をさげて帰ってくる。

 

 

わたしの心境を察したのか、

申し訳なさそうに、かつ、ちょっと誇らしげに

セブンでケーキ買ってきたよ

と、袋のまま差し出す。

 

旦那は、

税込み298円と値札が貼られた「ひとくちホワイトフロマージュ」ひとつで、

いとも簡単にわたしのモヤモヤを消し去っていく。

 

 

セブンイレブンに立ち寄り、

真っ先に向かったスイーツコーナーで、

チーズケーキ好きのわたしのために選んだであろうそれは、

食べやすいようひとくちサイズに切られた

サイコロ型の小さなチーズケーキ。

 

さっそく可愛いカップをあけて、

2種のクリームチーズを使用したというそれを、

星が付いた真っ赤なピックで頂く。

 

ほど良い甘さと酸味で、実に美味しい。

歯にまとわりつく、このねっとりとした柔らかな食感もキライじゃない。

 

 

そして、ふと思う。

 

わたしにとって結婚生活は、

こんなことの積み重ねなのかもしれない。

 

ちょっとした思いやりを感じるだけで、

まぁいいかと思えるもの。

 

他人から見れば、

たった300円程度の食い物につられるバカな女かもしれないが、

今はこんな自分もいいと思えるのだから仕方ない。

 

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