円形脱毛症になり、中学生で父親よりもハゲてしまった話

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こんにちは、キナシ アンです。
遡ること13年前、私がまだ中学生だった頃の話。

ある日の放課後、担任の先生に呼び出されて「なにかストレスを抱えているの?だったら話してほしい」と尋ねられた。
とくに心当たりはなく、「どうしてですか?」と答えると、少し言いづらそうに「ここ、円形脱毛症になっているんじゃないのかな?」と、私の頭を指さしながら優しく話す先生。
私は、その時に初めて円形脱毛症という言葉を知った。
気になって先生が指さす部分を自分で触ってみると、ツルツルとしているの分かった。
その日はもう部活どころではなくなり、すぐさま帰宅。
鞄を置くなり洗面台に直行して、小さな手持ち鏡をそのツルツルした部分に向けて、洗面台の大きな鏡で確認。

すると、直径2cmくらいだろうか、円形のハゲが見えた。
俗にいう10円ハゲ。その時は中学1年生。
怖くて恐ろしくて辛くて、とにかく泣いたのを覚えている。

すぐに母親に相談をし、かかりつけの皮膚科へ。
皮膚科の先生の診断はまさしく円形脱毛症
原因は「おそらく自己免疫疾患か、精神的ストレスによるものでしょうね」とのこと。

自己免疫疾患

円形脱毛症の原因として近年有力視されているのが、「自己免疫疾患」です。「自己免疫疾患」とは、外部からの侵入物を攻撃することで私たちの体を守ってくれている免疫系機能に異常が生じ、自分の体の一部分を異物とみなして攻撃してしまう病気です。

円形脱毛症は、Tリンパ球が毛根を異物と間違えて攻撃してしまうために発症すると考えられており、その激しい攻撃により毛根が傷んで、元気な髪の毛でさえ突然抜け落ちてしまうのです。

精神的ストレスによる影響

円形脱毛症の発症要因のひとつとして、「精神的ストレス」が挙げられます。

精神的ストレスを受けると、それに抵抗するために交感神経が活発に動きます。交感神経は、心肺を早く動かしたり体温を上げるなどの働きがあり、身体がストレスと闘う準備をしてくれます。

このとき、ストレスが強すぎたり長く続いたりすると、交感神経に異常をきたします。その結果、血管を収縮させ、頭部への血流が悪くなり、毛根への栄養補給が行き届かなくなって脱毛が引き起こされると考えられます。

また、ストレスは、毛根への栄養補給を妨げるだけでなく、「自己免疫疾患」や「内分泌異常」などのさまざまな疾患を誘因することもあります。

とりあえず赤外線を浴びる治療を受け、2種類の塗り薬を処方された。

先生は「とにかくあまり気にしないのが一番」と言っていたが、若干13歳の女子中学生だった私には到底受け止めることができなかった。

それに、今までは自分で気付いていなかったから周りの目は気にしていなかったが、担任の先生から気付かれたということはクラスメイトにもいずれバレてしまうのではないか。

そのことが気がかりでならなかった。
幸い髪が長かったため、その長い髪で円形脱毛症の部分をどうにか隠して、ズレないようにピンでしっかり留めて登校。
周りの友人にバレることはなかったが、トイレにいくたびに地肌が見えていないか念入りにチェックした。
風が強い日の体育の授業や部活、登下校中の突然の雨なんて、毎回気が気じゃなかった。

当時は、いつバレるか常に怯えていた気がする。恥ずかしくて、心を許している親友や幼馴染にさせ打ち明けることはできなかった。
そんな日々を過ごしながら2か月程が経ったころ、次第に細い髪が生えてきて地肌を徐々に覆っていった。

私も家族もひと安心。
やっと本当に笑って学校に行けるようになった。

二度目の「円形脱毛症」と「抜毛症」

しかし、それから10ヶ月くらい経って中学2年生になった頃。

お風呂上りにドライヤーで髪を乾かしていたら、ふと指が地肌に触れた。
恐る恐る手鏡越しにその部分を見ると、一年前に見た10円ハゲが。
そこから、またあの苦悩な日々がスタートした。

お風呂で髪を洗うたびに、手にごっそりと抜けた髪の毛が絡まる。
ドライヤーで乾かすたびに、髪がひらひらと洗面ボールに落ちていく。
櫛でとかすと、抜けた髪の毛で櫛が黒くなる。
この繰り返しの日々に、本当に精神がおかしくなるかと思った。

お風呂に入るのが嫌になった。
髪の毛が抜ける恐怖、それはそれは恐ろしいものだった。

一度目の時には2か月ほどで生え始めた髪は、抜け続けるばかりで生えてくる素振りを全く見せない。
それどころか、2か所、3か所と10円ハゲが増えていき、仕舞には3か所目と4か所目がくっついて大きな大きな500円ハゲまでできてしまった。

なぜ、ここまで悪してしまったかと言うと、抜毛症を併発してしまっていたから。

よく似た症状「抜毛症」と混同しない

抜毛症とは、自分で頭髪を抜いてしまう疾患です。一般的に、人間関係で悩みを持つおとなしい性格の子どもや思春期の年代に多く発生すると言われています。

抜毛症は時に、円形脱毛症と症状が似ていることがあり、混同されることもあります。その見分け方としては、抜毛症は脱毛斑の境界があいまいだったり、毛が途中でちぎれていたり、利き手側に脱毛斑が集中しているなどの特徴があります。

円形脱毛を気にしすぎるあまり、いつしか自分で自分の髪を抜くようになってしまっていたのだ。

「なんで自分でそんなことするの?」と不思議だろうが、髪を引っ張っても抜けないという安心感がほしかった。
そのことを確認するために、円形脱毛症の付近の髪を引っ張るのだが、それらの髪はいとも簡単に抜けてしまう。

「次はきっと抜けないはず、大丈夫」と懇願しながら、また引っ張る。でも、その願いは届かずまた抜ける。それの繰り返し。

皮膚科の先生が言うように「気にしないのが一番」なのだろうが、頭では分かっていても心がついていかない。
いつしか、「お父さんハゲてるよね~」と言っていた自分の父親よりも、ハゲてしまっていた。
父親は、「こんな薄い髪だけど、あげられることなら娘に全部あげたい」と言ってくれた。
母親は、私が髪を引っ張っていると、「触っちゃダメ。辛いだろうけど我慢しなさい」と注意してくれた。

そんな家族の支えのおかげで、自分で抜いてしまうことが減り、徐々に細い髪が生え始めてきて、同時に髪が抜けにくくなっていった。

一番ひどいときは、さすがの長い髪でも隠しきれなくなり、髪に黒い特殊な粉をふりかけてハゲた部分を隠す「スーパーミリオンヘアー」という商品にもお世話になった。

これは近くでまじまじと見られなければバレないし、雨や汗にも強いから、本当に助けられた。(今は父親が愛用している)

 

予想はしていた、三度目の円形脱毛症

しかし、二度目の円形脱毛症が始まってから1年が経とうとしていた中学3年生の頃、また抜け始めて新たな500円ハゲができてしまった。

そう、二度目の円形脱毛症が完治してすぐに、また三度目の円形脱毛症が発症してしまったのだ。
一度目も二度目も同じ時期に発症していたから、心づもりはしていたが、やっぱり三度目も辛かった。

しかも発症したのが、修学旅行の1週間前。ご存知のとおり、修学旅行にはお風呂の時間があるし、朝の身支度も同部屋のクラスメイトと共にすることになる。

普段は「スーパーミリオンヘアー」や髪の毛で隠していても、お風呂でヘアピンを外したらすべてがバレてしまう。
自由行動の場所も決めて、とっても楽しみにしていたのにどうしてこのタイミングなんだろう。
本当に運命というものを恨んだ。
そして「友達にバレるくらいなら、修学旅行なんて行きたくない」と泣きながら親に訴えた。

すると、母親が先生に相談してくれて、お風呂と朝の身支度はみんなとは別の部屋を用意してくれることになった。
「心配しなくて大丈夫よ。生理の女子生徒も別のお風呂時間になるから、あなただけなんで?って思われることはないし、先生たちもフォローする。みんなと一緒に行きましょう」
担任の先生がそう言ってくれて、実際にバレることなく安心してたくさんの思い出を作ることができた。

それからも、円形脱毛症と戦う辛い日々は続いたが、高校生になってからはもう発症することはなかった。
今年で26歳になったが、同じ時期になると未だに不安になり、お風呂上がりにドライヤーをかける時、10円ハゲができていないか確かめてしまう。

何でもそうかもしれないが、この辛さはなったことがある人しか分からないと思う。
普段はネタにしている薄毛の男性も、本当は抜けていく髪に恐怖を抱いているかもしれない。

そう思うと、やはり冗談でも「ハゲ」なんて言ってはいけないな。

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